水平位置指示器 (HSI) の使用法


VOR と ILS を簡単に

水平位置指示器 (HSI: Horizontal Situation Indicator) は、超短波全方向式無線標識 (VOR) 航法と計器着陸装置 (ILS) を使う作業を軽減するために作られました。他のコックピットの計器と同じく、HSI もメーカーによって表示形式も作動方法も異なります。とはいえ、基本的にはどの HSI であれ、選択された VOR または ILS を基準とした自機の水平位置を示していることに変わりありません。

HSI の機能は、VOR/DME 受信機と定針儀からの電気的信号を組み合わせて表示するものです (すべての HSI が定針儀と組み合わされているわけではありませんが、Flight Simulator の航空機ではこのようになっています)。

では、HSI の各種表示内容を見てみましょう。定針儀は航空機の機首磁方位を、緑色の矢印はパイロットが選択したコースを指しています。コース偏向指示器 (CDI) は、航空機の現在位置に対する選択したラジアルの位置を表示します。点線の目盛りはコースからのずれの程度を示しています (表示される偏向角度は地上局からどれくらい離れているかによって変化します)。また、HSI には CDI が正しいかどうかをクロスチェックするための ADF と、ILS アプローチに使うグライド スロープ指示器とその目盛りも付いています。

ビーチクラフト キング エア 350 の HSI

  1. 現在の局名
  2. 局までの DME 距離
  3. コース偏向指示器 (CDI)
  4. 選択したコースの指示器
  5. 針路バグ
  6. 対地速度情報
  7. To/From 指示器
  8. グライド スロープ指示器
  9. ADF 指針 (尾部)
  10. 設定コース
  11. コース セレクタ ノブ
  12. NAV/GPS セレクタ スイッチ
  13. 針路バグ ノブ
  14. ADF 指示器

HSI の使用方法

HSI の中心にある小さな飛行機は常に真上を向き、航空機が向かっている方向を示しています。先に取り上げたキング エア 350 の HSI を使って説明すると、シアトル VOR が VOR1 に選局されています (計器には VOR1、VOR2、GPS の情報を表示できます)。To/From 指示器は、局に向かっているのか、遠ざかっているのかを示します。現在は針路 340°(緑色の矢印) が選択されています。確認のために針路バグは 340°に設定されています。CDI 指示器は、シアトル VOR からの 340°ラジアルが航空機の左側、この場合、西側にあることを示しています。パイロットは CDI の方向におよそ 45°でインターセプトする形で旋回しています。どちらに旋回するかを計算する必要はありません。ただ CDI の方へ旋回すればいいのです。

パイロットは現在の針路を維持しつつ、CDI が中央に来てラジアルをインターセプトしたら、340°まで旋回します。ラジアル上をまっすぐに飛行している間、CDI の指針は中央から動きません。クロスチェックのため、無指向性無線標識 (NDB) を指すピンク色の ADF の指針を見てみると、現在位置から 266°の角度を示しています。

アウトバウンド

VOR から離れるコースを飛ぶときも、今と同じ技術を使います。つまり CDI に向かって飛ぶという方法です。ただし、選択するコースは局から離れるラジアルになります。

ここに示した例では、航空機がオリンピア局から離れる針路を取っています。コース指示器を見ると、アウトバウンドの 060°ラジアルが選択されています。To/From 指示器は局が後方にあることを示しています。パイロットは CDI の方向にラジアルをインターセプトする形で旋回しています。

HSI 受信機を ILS に合わせて、アプローチに使うこともできます。VOR 受信機を ILS 周波数にセットし、コース指示器でファイナル アプローチの機首方位を選択すると、ローカライザをインターセプトしたときに CDI が中央に来ます。HSI の片側あるいは両側にある指示器と目盛りに、グライド スロープの情報が表示されます。ここでもう一度、指示器に従って飛びます。グライド スロープ指示器が目盛りの中央線より上に来たときは、グライド スロープより下を飛んでいるということなので、インターセプトするために上昇します。グライド スロープ指示器が目盛りの中央線より下に行ったときは、グライド スロープより上を飛んでいるということなので、インターセプトするために降下します。

HSI と GPS

HSI のもうひとつの利点は、GPS コースを追跡できることです。GPS (全世界測位システム) は、複数の衛星から成るネットワークで、コード化されたデータを GPS 受信機に連続的に送信するものです。受信機は、このデータを使って地球上での位置やコースを算出します。位置を算出するには、受信機と軌道上を周回する複数の衛星との角度の関係を比較します。固定された地上局と関係なく精確な位置を算出できるため、ラジアルや角度計算なしで目的地へのコースを選定することができます。GPS に表示される緯度と経度、またはムービング マップ ディスプレイから現在位置を知ることができます。HSI モードから GPS モードに切り替えると、コース指針と CDI は GPS コースに対する航空機の位置を示します。この場合も同様に、パイロットは CDI の方向に旋回してコースをインターセプトします。

このことを自動的に行うには、自動操縦システムを NAV 保持に設定し、VOR/GPS スイッチを GPS に切り替えます (「自動操縦の使用法」を参照)。あらゆる点から見て、GPS や VOR による飛行や ILS によるアプローチを行うとき、HSI を使うことで操縦が簡単になります。それはフライトがより安全になるということでもあります。

HSI を搭載した Flight Simulator の航空機

  • ビーチクラフト バロン
  • ビーチクラフト キング エア
  • ベル ジェットレンジャー 206B
  • ボーイング 737-800
  • ボーイング 747-400
  • ボンバルディア カナデア CRJ-700
  • ボンバルディア リアジェット 45
  • セスナ グランド キャラバン C208B
  • モール M-7-260C オライオン
  • ムーニー M20M ブラボー
  • ロビンソン R22

関連リンク

無線機器の使用法
GPS の使用法
VOR に関する重要点
自動操縦の使用法