ATC のその他のサービス


Flight Simulator の ATC で利用できるその他の支援機能

Flight Simulator の ATC には、航空交通に関する警告、レーダー サービス、高度計規正値などのサービスもあります。

重要

マルチプレイヤー モードでは、インターネットや LAN 経由で、Flight Simulator のパイロットのためにタワー管制官を務めたり、逆にパイロットとして生身のタワー管制官と交信したりできます。詳細については、ラーニング センターの「マルチプレイヤーの ATC」を参照してください。

Flight Simulator の使用法や飛行について生の指導を受けてみてはどうでしょう? Flight Simulator マルチプレイヤーの航空機共有機能を使えば、インターネットや LAN 経由で他のパイロットや友達から教えを受けたり、逆に指導したりできます。 詳細については、ラーニング センターの「マルチプレイヤーで航空機を共有する」を参照してください。

ATC の警告メッセージ

Flight Simulator には、注意が必要な状況にある航空機に対して、ATC が警告する機能があります。警告メッセージは、誤りを指摘するというより、むしろ予期される制限範囲を越えないように警告を与えることを目的としています。飛行経路を外れないように穏やかな助言が出されることもあれば、障害となる地形を避けるために針路 (方向) が指示されることもあります。ほとんどの場合、その内容を了解したことを示すか、管制官の指示のとおりに修正操作を実施する必要があります。

ATC からのトラフィック メッセージ

大空を飛行しているのは、あなただけではありません。現実の空でも Flight Simulator の空でも、数多くの航空機が飛行しており、あなたの飛行経路に危険なほど接近する可能性もあります。接近の可能性がある場合、管制官は “トラフィック コール” で次の情報をパイロットに伝えます。

  • 管制官が呼びかけている相手
  • 問題になる交通の位置
  • 問題になる交通の種類
  • 取るべき措置

例 :

管制官 : “セスナ 0MS、同空域内に他機あり。2 時の方向、距離 5 マイル、高度 7,500 フィート、機種は 767。視認したら知らせてください。”

この例では、管制官はセスナ 0MS に呼びかけています。セスナ 0MS から 5 マイルの距離を、ボーイング 767 が高度 7,500 フィートで飛行しています。”2 時の方向” は、セスナ 0MS から見た他機の位置を示しています。

つまり、機首が 12 時を指すようにセスナ 0MS の機体を時計の盤面に置いたと仮定した場合に、その時計の短針が 2 時を示す方向にボーイング 767 がいるということです。管制官は、この航空機をセスナ 0MS が認識しているかどうかを知りたいので、この航空機を視認したかどうか、またはいつ視認したかを報告するようにセスナ 0MS に要求しています。

パイロットは、たとえば次のように応答します。

パイロット : “セスナ 0MS、接近中の航空機を視認しました。”
または
パイロット : “セスナ 0MS、航空機は視認できません。”

平行な滑走路上の航空機に対する警告は異なります。他の滑走路に自機と同じ飛行段階の航空機がいる場合は、その警告が出されます。たとえば、あなたが着陸しようとしている場合に、平行な別の滑走路にも着陸しようとしている航空機がいれば、そのことが警告されます。離陸しようとしている場合は、平行する別の滑走路から離陸しようとしている航空機に関する警告が出されます。このような警告が出されるのは、平行する滑走路の間隔が 4,500 フィート (1,372 メートル) 以下の場合のみです。

Flight Simulator では、他の航空機はテキスト ラベルとして表示されます。航空機が移動するにつれて、その航空機のコールサインのラベルが動いていくのがわかります。このテキスト ラベルは、好みに応じて非表示にすることもできます。ラベルを非表示にする方法については、「航空機ラベル」を参照してください。

0.3 マイル先にいる航空機 888RW を視認

航空機を視認できない場合

セスナ 0MS からボーイング 767 を視認できない場合は (航空機の大きさにかかわらず、上空で他の航空機を見つけるのは一般に考えるより難しいことです)、ボーイング 767 への注意が必要なくなったときに管制官がそのことをセスナに伝えることがあります。たとえば、次のようなメッセージがパイロットに送られます。

管制官 : “セスナ 0MS、接近中の機は空域外へ去りました。”

機種が不明の場合

場合によっては、管制官からはパイロットの位置を基準とした他機の位置のみが通知されます。 この場合は、パイロットは “2 時の方向に他機あり” というような位置の報告を受けます。交通報告で名前の挙がった航空機がモード C のトランスポンダを装備していれば (DC-3、パイパー カブを除く Flight Simulator のすべての航空機は、モード C のトランスポンダを装備しています)、管制官は “接近中の航空機は 2 時の方向、高度 5,000” というように、トラフィック コールで高度を伝えることができます。

航空機の機種を判別できなければ、管制官は単に “機種は不明” と伝えます。Flight Simulator にアドオン航空機をインポートしている場合は、アドオン航空機が交通報告の中で “機種不明” と表現される場合があります。

接近警報

他機が接近しており、衝突の危険性がある飛行経路と高度を飛行している場合は、管制官はトラフィック コールの最初に “他機接近警報” と言います。これは、他機の方向をすばやく注意して見ることを促す合図です。このとき、衝突を避けるために方向転換が必要な場合もあります。

VFR で操縦している場合は、ATC からトラフィック コールが出されるのは、一定の状況のみに限定されます。管制官は、衝突の危険があるすべての交通についてパイロットに通知するわけではありません。

IFR 飛行とトラフィック コール

パイロットが IFR フライト プランに基づいて飛行している場合は、ATC がその周囲の交通を監視します。ただし、IFR で飛行している航空機は、理論上は雲の中を飛行していて、パイロットは互いに視認できないはずなので、担当空域内の航空機の飛行間隔を保つのは管制官の責任です。

VFR 飛行とトラフィック コール

VFR 方式で飛行中のパイロットにトラフィック コールが出されるのは、パイロットが空域の通過中に管制官にコンタクトした場合、”フライト フォローイング” を使用している場合、および空港ターミナル空域にいる場合です。ただし、それもあくまで管制官の手が空いていればの話で、VFR 方式で飛行する場合、他の航空機との間隔を保つのはパイロットの責任です。

交通に合わせた速度調整

前後に自機より速い、または遅い航空機がある場合は、それに合わせて速度を調整するように管制官から指示される場合があります。

空域の通過

任意の 2 点を結ぶ最短経路は直線になります。したがって、場合によっては管制空域を通過して飛行することがあります。空域内を多数の航空機が飛行していたり、自機より大型で高速な (あるいは小型で低速な) 航空機が飛行していたりすることがあるので、空域を通過するときは安全のため管制官と交信するとよいでしょう。空域を迂回して飛行することもできますが (空域が記載されている区分航空図を用意する必要があります)、この場合は、飛行時間と距離がかなり増えることになります。

Flight Simulator で通過許可を受けるのは簡単です。前方に、通過許可を要請できるまたは通過許可が必要な空域がある場合は、[ATC] メニューに “空域通過許可を要請” の項目が表示されます。この項目を選択すると、次のような交信が行われます。

パイロット : “Seattle アプローチ、こちらセスナ N700MS、現在位置は Boeing Field の東 10 マイル、高度 5,000 フィートです。ブラボー空域の通過許可をお願いします。”

管制官 : “セスナ 0MS、こちら Seattle アプローチ、スクォークを 2212 に設定してください。”

パイロット : “スクォーク 2212、セスナ 0MS。”

管制官 : “セスナ 0MS、レーダーで捕らえました。現在位置は Boeing Field の東 7 マイル、高度 5,000。ブラボー空域の通過を許可します。”

パイロットは、シアトルの ARTCC 管制官に対して自機のコールサインと現在位置、高度、および管制官に要請する内容を伝えています。管制官は 0MS に呼びかけ、トランスポンダ コードを 2212 に合わせるように指示しています。0MS は、このトランスポンダ コード (スクォーク コード) を復唱することで応答しています。管制官は、レーダー画面上で 0MS の機影を捕らえると、レーダーで捕捉したことを 0MS に伝え、シアトルのクラス B 空域を通過することを許可します。クラス D 空域の場合は、[ATC] メニューに管制機関の名前が表示されます。このようにして、通過する管制空域を選択することができます。

空域を通過すると、[ATC] メニューに [空域離脱を報告] という項目が表示されます。この項目を選択すると、該当する空域から離れたことが管制官に伝えられます。

フライト フォローイング

フライト フォローイングとは、VFR で飛行する航空機に対するレーダー サービスで、管制官がそれほど忙しくないときに交通に関する情報を提供するものです。クロスカントリー飛行を行っている場合や、複数の管制施設の空域を通過する必要がある場合は、このサービスを利用すればそれぞれの管制施設にそのつど通過許可を要請する必要もなく、交通に関する通知も受けられるので便利です。また、自機の現在位置を常に誰かが把握していることになるので、デス バレーやサハラ砂漠上空でエンジンが停止したような場合にも安心できます。ただし、フライト フォローイングを利用している場合でも、針路を正しくとって飛行するのはあくまでもパイロットの責任であることを忘れないでください。

Flight Simulator では、フライト フォローイングを利用できる空域内を VFR で飛行しているときは、[ATC] メニューに [フライト フォローイングを要請] という項目が表示されます。この項目を選択すると、次のような交信が行われます。

パイロット : “Seattle センター、こちらセスナ N700MS、機種はスカイレーン、現在位置は Bremerton National の東 5 マイル、フライト フォローイングをお願いします。”

管制官 : “セスナ 0MS、(こちら) Seattle センター、スクォークを 2212 に設定してください。”

パイロット : “スクォーク 2212、セスナ 0MS。”

管制官 : “セスナ 0MS、レーダーで確認しました。現在位置は Bremerton の東 7 マイル、高度 5,000 フィートです。アルティメター (高度計規正値) は 3,102。”

パイロット : “了解です、セスナ 0MS。”

パイロットは、シアトルの ARTCC 管制官に対して自機のコールサインと現在位置、高度、および管制官に要請する内容を伝えています。管制官は 0MS への応答として、トランスポンダ コードを 2212 に合わせるように指示しています。0MS は、このトランスポンダ コード (スクォーク コード) を復唱することで応答しています。管制官は、レーダー画面で 0MS の機影を捕らえると、レーダーで捕捉したことをパイロットに伝え、現在位置の高度計規正値を指示します。

高度計規正値

高度計は、航空機の高度に関する情報をパイロットに知らせるものです。つまり、平均海面 (MSL) からどれくらいの高さにいるのかを示します。 高度計は、さまざまな高度での大気圧の差を測定することによって機能します。特に雲の中を飛行しているときには、高度を把握しておくことは非常に重要です。そして、高度計が示す値は大気圧に応じて変化します。高度計の詳細については、ラーニング センターの [レッスン] タブを参照してください。

高度計規正値は、国によって水銀柱の高さ (インチ単位) で表す場合と、ヘクトパスカル単位で表す場合があります。管制官は、大気圧を水銀柱の高さ (インチ単位) またはヘクトパスカル単位で表すことにより、現在位置の高度計規正値を指示します。パイロットは、高度計のコールスマン ウィンドウ (高度計盤面の小さな窓) の数値をこの規正値に合わせる必要があります。

コールスマン ウィンドウ

管制官は、多くの場合、パイロットからの最初のコンタクトで現在位置の高度計指示値を伝えてきます。次のような指示があったら、注意して聞いてください。

管制官 : “アルティメター (高度計規正値) は 29.92。”

この指示を受けたら、航空機の現在の高度計規正値をチェックして、管制官から伝えられた値と一致しているかどうかを確認します。Flight Simulator では、高度計規正値をインチ単位の水銀柱の高さ (米国式) で表すか、ヘクトパスカル単位 (メートル法) で表すかを選択できます。

高度計規正値を米国式とメートル法のどちらで表すかを選択するには

  1. [オプション] メニューの [設定] をポイントして、[一般] をクリックします。
  2. 使用する設定を選択し、[OK] をクリックします。

高度計規正値を変更するには

  • 高度計にある高度計規正ノブをクリックします。

ヘリコプターの操縦

Flight Simulator の ATC では、ヘリコプターのフライトも固定翼機のフライトと同様に扱われます。ベル 206B ジェットレンジャー III またはロビンソン R22 ベータ II で、離着陸の管制許可を要請し、IFR アプローチを飛行することができます。 ヘリコプターのフライトに対しては、タキシングやパターンへの進入に関する特別な指示が出されることはありません。

ただし、グラウンド コントロールを呼び出すと、滑走路までタキシングして離陸するよう指示されてしまうため、メニューにタワーとの交信のオプションが表示される前にホバー タキシングを行い、滑走路のすぐ手前で着陸する必要があります。 また、ATC と交信せずに駐機場からすぐに離陸することもできます。離陸すると、メニューの内容が変化し、着陸可能な空港の一覧が表示されます。

ATC からは、建物や船などの空港以外の場所への着陸許可は出されませんが、Flight Simulator では、ほとんどの建物の上にヘリコプターで着陸することが可能です。

ATC ではヘリコプターを他の航空機と異なるものとは認識しませんが、駐機場に直接着陸した場合は [ATC] メニューの内容が直ちに変化し、離陸に関するオプションが表示されます (通常の航空機の場合は、滑走路への着陸後に滑走路からのタキシングに関するオプションが表示されます)。

関連リンク

航空交通管制について
交通量の設定
空域について
ヘリコプターの操縦法
ATC 用語集


前の記事

実世界の ATC との違い

次の記事

IFR 飛行と ATC