実世界の ATC との違い


Flight Simulator の ATC と実世界の ATC の違いについて

Flight Simulator で実現可能な最高の ATC システムを利用できるように、ATC システムには Flight Simulator のパイロットに内容豊かで魅力的な経験を提供する機能が組み込まれています。ここでは、Flight Simulator の ATC を現実世界の ATC と比較して、異なる点や強化されている点を説明します。

重要

マルチプレイヤー モードでは、インターネットや LAN 経由で、Flight Simulator のパイロットのためにタワー管制官を務めたり、逆にパイロットとして生身のタワー管制官と交信したりできます。

航空交通管制を行うには、必ずしもエキスパートである必要はありません。 ATC 手順をよく知らなくても、これから書かれていることを読み、Flight Simulator のマルチプレイヤーを使って、インターネット上の初心者向け ATC セッションを見つけることができます。

覚えておいてほしいのは、Flight Simulator でマルチプレイヤー ATC を使う場合、現実世界の ATC と Flight Simulator の ATC との間に、基本的には違いはないということです。次の一覧は、シングルプレイヤーのみに適用される Flight Simulator ATC システムの相違点です。詳細については、ラーニング センターの「マルチプレイヤーの ATC」を参照してください。

空港の選択

[ATC] メニューの [近くの空港のリスト] を選択すると、半径 30 マイル以内の距離にある近隣の空港が一覧表示されます。一覧では、上から空港までの距離が近い順に表示されます。

IFR フライト プランのルート

Flight Simulator では、すべての IFR フライト プランは、[フライト プランナー] で提出されたルートに従って許可されます。すべての IFR クリアランスは “申請どおり” に出されます。IFR クリアランスの中では、詳細なルートは示されません。

次の区間に対する管制承認が与えられる時刻

Flight Simulator では、IFR 飛行中に待機するよう指示された場合に、”次の区間に対する管制承認が与えられる時刻” は通知されません。ランダムな無線機器の故障を設定した場合は、ATC システムは通信障害を認識しないので、前方の空域に対する許可を受けることはできません。 パイロットからの応答が ATC に届かなければ、IFR フライト プランはキャンセルされます。

DP と STAR

Flight Simulator では、公表されている DP (出発手順) や STAR (標準到着経路) を含むルートについては、管制許可は出されず、要請もできません。ただし、フライト プランナー ファイルでウェイポイントをカスタマイズすれば、このようなルートも作成できます。ATC からは、DP や STAR を除いて、”提出のとおり” にフライトを許可したことが伝えられます。ルート上のカスタム ウェイポイントの詳細については、「フライト プランナーの使用法」を参照してください。

通信途絶

Flight Simulator では無線機を故障させることも可能ですが、ATC からは通信途絶時の指示は出ません。また、ATC は航空機で通信途絶が発生していることを認識しません。パイロットからの応答が ATC に届かなければ、IFR フライト プランはキャンセルされます。この場合は、着陸の順番待ちには入れず、着陸も許可されません。

IFR のキャンセル

IFR をキャンセルするときは、本当にキャンセルするかどうかの確認が要求されます。これは、IFR フライト プランを誤ってキャンセルしてしまうのを避けるためです。滑走路に向かう途中で IFR をキャンセルした場合は、滑走路までタキシングして VFR による出発をタワーに要請するように ATC から指示されます。現実の世界の米国ルールでは、高度 18,000 フィート以上で特別管制区内を飛行しているときに IFR をキャンセルした場合は、18,000 フィート以下まで降下するように指示されますが、Flight Simulator ではこの指示は出されません。

フライト フォローイングのキャンセル

フライト フォローイングは、いつでもキャンセルできます。 フライト フォローイングを利用している場合や管制空域の通過中に、着陸を選択するとフライト フォローイングはキャンセルされます。[ATC] メニューから着陸空港を選択した場合は、自動的に着陸空港の無線周波数が選択されます。このとき通過許可やフライト フォローイングは自動的にキャンセルとなり、それ以降の交信は行われなくなります。

パイロットが応答しない場合

Flight Simulator で IFR 飛行を行っているときは、管制官の指示に応答する必要があります。ATC の指示に応答しない場合は、IFR フライト プランがキャンセルされます。

フライト サービス ステーション (FSS: Flight Service Station)

[フライト プランナー] を使用して、非管制空港を出発地または目的地とする IFR フライト プランを作成できます。出発空港にフライト サービス ステーションの周波数がある場合は、その周波数で IFR クリアランス (これにはクリアランス ボイド タイムが含まれます) を受けます。 Flight Simulator では、パイロット レポート (PIREPS)、気象通報、無線によるフライト プランの提出など、他の FSS サービスはサポートされていません。

ATC との交信

現実の世界とは異なり、Flight Simulator では ATC とまったく交信しなくてもかまいません。管制官を呼び出さずに管制空域を飛行することもできますし、そのまま着陸しても、当局にとがめられることはありません。

VFR フライト プラン

[フライト プランナー] では VFR フライト プランは作成できません。VFR 飛行を行う場合は、[フライト プランナー] はルートの計画を立てるツールとしてのみ使用できます。Flight Simulator では、VFR で目的地に到着しても、フライト プランをキャンセルする必要はありません。

モード C 対応のトランスポンダ

Flight Simulator の ATC は常に、あなたの高度を把握し、無線を搭載している航空機がすべてモード C 対応のトランスポンダを装備しているかのように反応します。これは、Flight Simulator の ATC のレーダーが世界中をくまなくカバーし、あらゆる航空機のモード C データを受信しているためです。同様に、モード C トランスポンダを装備していない航空機が飛行している場合も、ATC はその高度を他の航空機に報告することが可能です。

緊急着陸 (着水)

Flight Simulator では、緊急事態を宣言することはできません。

特別有視界気象と雲上有視界飛行

Flight Simulator の ATC では、特別有視界気象および雲上有視界飛行の要請はできません。

空域の相違

Flight Simulator は、実際の空域境界をできる限り忠実に再現していますが、一部の空域には相違があり、 空域の区切りと高度の階層が忠実にモデル化されていない場合があります。Flight Simulator では、ATC がカバーする範囲を拡大するために、現実の世界には存在しない境界がいくつか作成されています。Flight Simulator の ATC のレーダーは、世界中のあらゆる場所をカバーしています。

空港の相違

Flight Simulator の ATC には、実際に録音された膨大な量の音声が組み込まれています。全世界の 3,000 か所を超える空港と管制施設、数百もの機種と航空会社名、および数百もの基本的な言い回しが、10 種類の異なる声で読み上げられます。非管制空港の名前は含まれていませんが、ICAO ID によって識別されます (たとえば、クレスト エアパークは “S36” として識別されます)。

Flight Simulator の空港および無線航法援助施設のデータは、Flight Simulator の開発時点でのジェップセン (Jeppesen) 社の全世界を対象とした NavData データベースに基づいています。さまざまな理由から、現実の世界で目にするものとは違うデータが一部に存在します。Flight Simulator の開発期間は長期にわたるため、製品が実際に発売されるまでの間に、現実の世界では一部の空港データが変更されている可能性があります。

小数点以下 3 桁の周波数の扱い

小数点以下 3 桁の無線周波数は、すべて小数点以下 2 桁に短縮されています。たとえば、122.375 は 122.37 となります。

滑走路交差点からの離陸開始

Flight Simulator には滑走路交差点のデータが収録されていますが、交差点からの離陸を要請することはできません。滑走路交差点から離陸を開始することはできますが、それを要請するための ATC 表現は用意されていません。

ASOS と AWOS

現実の世界では ASOS と AWOS にはそれぞれ別の周波数が割り当てられていますが、Flight Simulator ではこの 2 つのサービスは同じものであり、AWOS として報告されます。Flight Simulator では、AWOS の情報が絶えず更新されているわけではありません。気象に変化が生じた時点か、前回の更新から 1 時間経過した時点の、どちらか早い方の時点で更新されます。

洋上での操縦

Flight Simulator では、大洋を横断する長距離フライトも他のフライトと違いはありません。大洋を横断する IFR フライト プランを提出し、フライト全体が ATC による管制の対象となります。現実とは異なり、レーダーでカバーされない領域はありません。