エンジンの制御


エンジン制御の基本を学び実際の飛行に役立てる

注意 : わかりやすいように、ここではピストン エンジンだけに焦点を絞って説明しています。タービン エンジンの操作については、「ジェット機の操縦法」を参照してください。

人間が空を飛ぶには、どんな距離であろうともエンジンなどの助けが必要です。だからこそ、航空機のエンジンについてよく知っておかなければなりません。ここでは、航空機のエンジンの能力を引き出すためのヒントをいくつか紹介します。

コックピットには、エンジンを監視するための計器が多数備えられています。中でも特に重要なのが、エンジン出力を測定するエンジン回転計と吸気圧力計の 2 つのエンジン計器です。エンジン回転計はエンジン速度を毎分の回転数で示し、吸気圧力計はシリンダに流入する空気の圧力を示します。

エンジン制御装置の使用

ピストン エンジンを搭載した現代の航空機のほとんどが、2 つまたは 3 つの基本制御装置を備えています。ピストン エンジンを搭載した固定ピッチ プロペラの航空機には、2 つの基本的なエンジン制御装置があります。黒色のスロットル コントロールは、出力に最も直接的に影響する制御装置で、赤色の混合気コントロールは、航空機の上昇および降下時に空気と燃料の混合気を調整します。 定速プロペラを採用している航空機は、プロペラの回転速度を調整する青色のプロペラ コントロールも備えています。

スロットル

スロットルは、エンジン シリンダに流入する燃料と空気の量を制御して、エンジンが生み出す出力を調節します。スロットルを全開にすると、最大量の燃料と空気が流入して、最大出力が生み出されます。スロットルを閉じると、流入する燃料と空気は少量になり、エンジンの出力も最小になります。スロットルを開くにはスロット コントロールを前方に押し込みます。閉じるには手前に引きます。計器パネルの吸気圧力計には、エンジン シリンダに流入する空気の圧力が表示され、おおよそのエンジン出力がわかります。一般に、吸気圧が高くなると出力も高くなります。

混合気コントロール

航空機のエンジンはさまざまな高度で使用されるため、空気の薄い高空への上昇や、空気が濃くなる降下の際に、エンジン効率が最大になるように燃料と空気の混合比を調整できるようになっています。混合気が濃すぎると、大気条件に対して燃料の含有率が多すぎるためエンジンが不調になり、出力が失われることもあります。この問題は、混合気を薄くすると解決します。上昇時は、排気ガス温度計 (EGT) の指針がピークを指すように混合気コントロールを引いて混合気を薄くしてから、少し戻します。ただし、薄くしすぎないように注意してください。混合気が薄すぎると、エンジンがオーバーヒートしたり、シリンダ内の燃料と空気による突然の激しい爆発 (デトネーション) を引き起こしたりすることがあります。この爆発によってエンジンが損傷することも珍しくありません。

プロペラ コントロールおよび出力の管理

一般に、ピストン エンジンは固定ピッチ プロペラまたは定速プロペラに接続されています。

固定ピッチ プロペラ

固定ピッチ プロペラは、エンジンのクランク軸にボルトで直接固定されており、常にエンジンと同じ速度で回転します。この固定ピッチ プロペラは、ギアが 1 つしかないトランスミッションに似ています。効率の良い構造ではありませんが、それと引き換えに操作が非常に単純です。注意を払う必要がある計器はエンジン回転計だけです。固定ピッチ プロペラはエンジンと同じ速度で回転するため、エンジンの回転数がエンジン出力を示す最高の指針となります。離陸、巡航、および着陸時のエンジン出力はエンジン回転計を使って設定します。回転数が高いほど、エンジンの出力は大きくなります。

固定ピッチ プロペラを使用する場合、出力の管理は単純です。スロットルを押し込むと、回転数 (および出力) は増加します。スロットルを手前に引くと、回転数は減少します。ただし、回転数は対気速度が増加するにつれて徐々に増大することがあるので注意が必要です。高速で降下する場合は、エンジン回転計を注意深く監視し、回転数が制限範囲内であることを確認するようにします。

定速プロペラ

定速プロペラには、設定した回転数を維持するために、自動的にプロペラ ピッチ (ねじれ角) を調節するガバナー (調速機) が装備されています。このプロペラを使用すると、エンジン出力をより有効に使用できます。航空機のプロペラの調整方法は、自動車のギアの使い方によく似ています。ギアをローに入れるとエンジンの回転が速くなり、自動車は動きだします。自動車が走り出すと大きな出力は必要なくなるので、ギアをハイに切り替えてより小さな出力を効率的に使用します。航空機の場合は、プロペラ コントロールでプロペラの羽根が空気を切る角度を変えて、エンジンの回転速度を変化させます。計器パネルのエンジン回転計にエンジンの回転速度が表示されます。

離陸時と、着陸を中断して再上昇する場合には、エンジンの最大出力が必要です。したがって、フライトのこれらの段階では、プロペラ コントロールを前方いっぱいに押し込みます。この状態では、プロペラの羽根の角度が浅くなって空気を切りやすくなるので、車のロー ギアのときと同様にエンジンの最大出力が得られます。巡航時には、プロペラ コントロールを少し引き出します。こうすると、羽根の角度が増加して空気を切る量が増えるので、車のギアをハイに切り替えたときと同様にエンジン出力を効率的に使用できます。定速プロペラの場合、スロットルの設定を変更すると、プロペラ速度を維持できるようにガバナー (調速機) が自動的に羽根の角度を調整します。

定速プロペラでは、出力管理はやや複雑になります。吸気圧力計と回転計には十分に注意を払ってください。吸気圧力計はスロットルによって制御され、回転計にはプロペラの回転数が表示されます。回転数を調整するには、プロペラ コントロールを使用します。

スロットルとプロペラ コントロールを両方とも使用するときは、エンジンに過剰な負荷をかけないために、次の基本ルールを覚えておく必要があります。

出力を増加させるには

  1. プロペラ コントロールを押し込んでプロペラ速度を上げます。
  2. スロットルを押し込んで吸気圧を増加させます。

出力を減少させるには

  1. スロットルを引いて吸気圧を下げます。
  2. プロペラ コントロールを引いてプロペラ速度を下げます。

Flight Simulator でのエンジン制御装置の使用法

Flight Simulator では、3 つのエンジン制御装置を、キーボードやマウスで調整することができます。マウスで調整する場合は、該当するエンジン制御装置を前方または手前にドラッグして操作します。ジョイスティックによっては、エンジン制御に使用するレバーやスライダがあるものもあります。

プロペラをフェザリングするには

  1. コックピットで、プロペラ コントロールのノブをクリックします。
  2. 任意の位置までノブをドラッグします。
    マウスのホイールで細かい調整を行うことができます。

または、

  • Ctrl + F1 キーを押します。

プロペラの回転速度を調整するには

  • プロペラを最大速度に設定するには、Ctrl + F4 キーを押します。
  • プロペラの速度を下げるには、Ctrl + F2 キーを押します。
  • プロペラの速度を上げるには、Ctrl + F3 キーを押します。

スロットルを操作するには

  1. コックピットで、スロットル コントロールのノブをクリックします。
  2. 任意の位置までノブをドラッグします。
    マウスのホイールで細かい調整を行うことができます。

または、

  1. スロットルを開くには、F3 キーまたは 9 キー (テンキー) を押します。
  2. スロットルを絞るには、F2 キーまたは 3 キー (テンキー) を押します。

スロットルを全開にするには、F4 キーを押します。

Flight Simulator の標準設定では混合気は自動的に調整されますが、必要に応じてこの設定を無効にすることもできます。

混合気を手動で調整するには

  1. [航空機] メニューの [リアリティの設定] をクリックします。
  2. [自動混合気コントロール] チェック ボックスをオフにします。

混合気の設定を操作するには

  1. コックピットで、混合気コントロールのノブをクリックします。
  2. 任意の位置までノブをドラッグします。
    マウスのホイールで細かい調整を行うことができます。

または、

  1. 混合気を薄くするには、Ctrl + Shift + F2 キーを押します。
  2. 混合気を濃くするには、Ctrl + Shift + F3 キーを押します。
  3. 混合気を最も濃くするには、Ctrl + Shift + F4 キーを押します。

多発機の場合は、エンジンを別々に制御する必要がある場合があります。多発機のコントロールの詳細については、「双発エンジン航空機の操縦法」を参照してください。

関連リンク

ピストン エンジン
タービン エンジン
双発エンジン航空機の操縦法
ジェット機の操縦法
マウスの使用