レッスン 5: 離陸


何年も前のことです。同僚の航空教官の生徒で、かなり長い時間を荒海で過ごしてきた人がいました。最初のレッスンでその生徒は、航空機を固定していた 3 本のロープをすべてほどいて脇へほうり投げると、「出航だ!」と叫びました。どうやら、その生徒の頭の中には海水が少し染み込んでいたようです。

航空機は出航するのではなく離陸するものです。そして、ひとたび上空に上がったら、着陸の準備を整えて空港に戻るための実際的な方法が必要になります。これは、船をドックに戻すのに似ているとも言えます。港を目指す船の間に強引に割り込むなんてことはしませんよね。港を目指して船を操る漁師たちの後ろに並ぶはずです。そうすれば、秩序は保たれ、混乱から殴り合いが起こることもありません。殴り合いにでもなったら、魚嫌いになってしまうかもしれません。

高く、高く、飛び立つ

図 5-1

離陸での目標は、機首を上げて上昇姿勢を取ることができる十分な速度まで航空機を加速することです。これを、引き起こし (ローテーション) と呼ぶこともあります。フラップなしの失速速度 (レッスンで使用する航空機の場合は 50 ノット、つまり対気速度計の緑色の円弧が始まるところ) より、最低でも 5 ノット上回ったところで引き起こしを行ってください。対気速度計の表示が 75 ノットになったら、80 ノットでの上昇が可能な姿勢まで機首を上げます。80 ノットの上昇姿勢がどのようなものかは、経験から学ぶことができるでしょう。この場合は、約 11 度の機首上げ姿勢、つまり水平儀が 2 つ目の目盛りの少し上を指すようにします。準備はいいですか? では、やってみましょう。

まず、出力を全開にし、滑走路の中心線に沿って加速します。対気速度計が 55 ノットを示したら、いよいよ離陸可能です。離陸しましょう。図 5-1 に示すように、機首を 11 度上に向けます。

ジョイスティックを使用している場合は、この引き起こしで航空機を滑走路から持ち上げるためには、ジョイスティックをやや大きく手前に引く必要があります。辛抱が肝心です。最終的には、その姿勢で 75 ノットまで航空機は加速します。

離陸時のラダー ペダルの使用

オート ラダー機能をオフにしてラダー ペダルを使用している場合は、出力を上げると左へのヨーイングが発生します。このヨーイングの発生には、いくつかの理由があります。 プロペラ後流やエンジン トルクなどによって、離陸時に機首が左へ振られてしまうのです。そこで、航空機を滑走路と平行な状態に維持するのに必要なだけ、右のラダー ペダルを踏みます。ラダー ペダルがない場合は、心配無用です。Flight Simulator のオート ラダー機能によって、この現象は補正されるからです。

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もちろん、離陸したら必ず着陸しなければなりません。 着陸も、上手にできるに越したことはありませんね。 そこで、次のレッスンでは着陸について学習しましょう。

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