故障の設定


トラブルに対処する能力を試す

今日の航空機がいかに高い信頼性を誇っているといえ、パイロットはやはり予期せぬことが起きたら、それに対処する方法を心得ておかなければなりません。実世界のパイロットの訓練では、計器、システム、無線機器、およびエンジンの故障をシミュレートします。まじめなパイロットは、いつ発生するかわからない緊急事態に常に備えているのです。

[故障] ダイアログ ボックスを使用すると、航空機の計器、システム、無線機器、またはエンジンの故障を設定できます。これらの故障は、すぐに発生させることも、ランダムに発生させることもできます。また、計器が故障している時間を指定することもできます。

注意 : Flight Simulator では、航空交通管制に対して緊急事態を宣言することはできません。

[故障] ダイアログ ボックスを開くには

  1. メイン画面の [フリー フライト] をクリックします。
  2. [故障] をクリックします。
    または、
  • [航空機] メニューの [故障] をクリックします。

計器の故障

雲または霧の中で航空機を操縦し、機体の姿勢を正しく維持するためには、計器だけが頼りです。有視界飛行方式 (VFR) の最低条件を満たさない気象条件での飛行が認められるのは、計器飛行証明を持つパイロットだけです。

計器飛行証明を持つパイロットは、計器の故障に対処するための練習を行います。計器によっては、ゆっくりと故障の程度が進むものがあります。この場合、パイロットが計器の故障に気付かずに使用を続けてしまい、大惨事につながる可能性があります。たとえば、故障した水平儀には少しずつ一方に傾いていきます。水平儀の水平線の傾きに気付いたパイロットは、水平儀が水平になるまで機体をバンクさせるでしょう。雲の中では、有視界飛行の経験と勘は役に立ちません。水平儀と共に他の計器もスキャンしてクロスチェックしないと、パイロットは機体が傾いていることや、計器の故障にも気付かないでしょう。 このような理由から、計器の訓練ではスキャンとクロスチェックについて学ぶことが重要なのです。

有視界飛行においても、定針儀が故障した場合には、磁気コンパスを見ながら飛行しなければなりません。コンパスにはもともと旋回、上昇、降下によって誤差が生じる性質があるため、難しい飛行になるでしょう。また、対気速度計が正常に機能していない場合、目標とする着陸速度に合わせるのが難しくなります。

実際の航空機では、計器を隠すことによって、計器が一瞬のうちに完全に故障してしまった状況の訓練だけしか行うことができません。しかし、実際の故障というものは一見して明らかなものばかりではありません。Flight Simulator では、そのような現実に近い状況で故障を見分ける訓練を行うことができます。

計器飛行の詳細については、ロッド マチャド氏のフライング レッスンの「計器飛行操縦士」のセクションを参照してください。

故障が発生するタイミングは、すぐに故障させることも、時間を指定して発生させることもできます。フライトに入って間もなく故障が発生するように設定した場合、タキシングの距離が長いと、離陸前に故障する可能性があります。

以下の 6 つの計器のいずれか、またはすべてに故障を設定することができます。

  • 水平儀
  • 定針儀
  • 昇降計
  • 高度計
  • 対気速度計
  • 旋回計

特定の計器がすぐに故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [計器] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させる計器の [故障中] チェック ボックスをオンにします。
  4. [OK] をクリックします。

特定の計器が指定した時間内に故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [計器] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させる計器の [故障発生] チェック ボックスをオンにします。
  4. [発生時間] の左側ボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  5. [発生時間] の右側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  6. [OK] をクリックします。

ランダムに計器を故障させるには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [計器] タブをクリックします。
  2. [ランダムに要素が故障] をクリックします。
  3. [故障させる要素の数] ボックスをクリックして、ランダムに故障させる計器の数を入力します。
    または、
  1. [故障させる要素の数] ボックスの右側にある上下の矢印をクリックして、ランダムに故障させる計器の数を増減させます。
  2. [故障開始時間] ボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  3. [故障終了時間] ボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  4. [OK] をクリックします。

タイマーは、[フライト!] をクリックするまでカウントを開始しません。

システムの故障

システムが故障すると、さまざまな計器やアイテムに影響が及び、その範囲は航空機によります。たとえば、セスナ スカイホーク 172 SP のフラップは電動式ですが、ボーイング社製の航空機は油圧式です。また、水平儀にも電動式のものと真空ポンプ (空気駆動) 式のものがあります。

以下のシステムにおける故障は、IFR および VFR のどちらのフライトにも影響を及ぼします。

故障するシステム影響を受けるアイテム
真空ポンプ系統水平儀および定針儀
ピトー静圧管対気速度計
電気系統時計、無線機、燃料計、フラップ、水平儀、定針儀、ピトー ヒート、および旋回計

特定のシステムがすぐに故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [システム] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させるシステムの [故障中] チェック ボックスをオンにします。
  4. [OK] をクリックします。

特定のシステムが指定した期間内に故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [システム] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させるシステムの [故障発生] チェック ボックスをオンにします。
  4. [発生時間] の左側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  5. [発生時間] の右側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  6. [OK] をクリックします。

ランダムにシステムを故障させるには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [システム] タブをクリックします。
  2. [ランダムに要素が故障] をクリックします。
  3. [故障させる要素の数] ボックスをクリックして、ランダムに故障させるシステムの数を入力します。
    または、
  1. [故障させる要素の数] ボックスの右側にある上下の矢印をクリックして、ランダムに故障させる計器の数を増減させます。
  2. 故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  3. 故障が発生するまでの最長経過時間 (分単位) を入力します。
  4. [OK] をクリックします。

注意 : タイマーは、[フライト!] をクリックするまでカウントを開始しません。

無線機器の故障

通信、航法、およびトランスポンダ無線機の故障もシミュレートできます。

注意 : Flight Simulator の航空交通管制 (ATC) は、通信が途絶した際の指示は出しません。Flight Simulator では、IFR フライト プランで飛行している場合に通信用無線機器が故障すると、ATC の指示が聞こえなくなります。ATC の指示に応答しないと、フライト プランはキャンセルされます。

特定の無線機器がすぐに故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [無線機器] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させる無線機器の [故障中] チェック ボックスをクリックします。
  4. [OK] をクリックします。

特定の無線機器が指定した期間内に故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [無線機器] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させる無線機器の [故障発生] チェック ボックスをクリックします。
  4. [発生時間] の左側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  5. [発生時間] の右側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  6. [OK] をクリックします。

ランダムに無線機器を故障させるには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [無線機器] タブをクリックします。
  2. [ランダムに要素が故障] をクリックします。
  3. [故障させる要素の数] ボックスをクリックして、ランダムに故障させる無線機器の数を入力します。
    または、
  1. [故障させる要素の数] ボックスの右側にある上下の矢印をクリックして、ランダムに故障させる無線機器の数を増減させます。
  2. 故障が発生するまでの最短経過時間 (分単位) を入力します。
  3. 故障が発生するまでの最長経過時間 (分単位) を入力します。
  4. [OK] をクリックします。

注意 : タイマーは、[フライト!] をクリックするまでカウントを開始しません。

エンジンの故障

実世界のパイロットは、エンジン故障に対処する練習を訓練飛行中に何度も行います。エンジンが停止した場合の対処方法を航空機ごとに知っておくことが重要です。単発機の場合、エンジンが故障するとグライダーのように飛行します。したがって、安全に着陸できる場所をすぐに見つける必要があります。多発機でエンジンが 1 つだけ故障した場合は、推力が非対称になるので操縦が困難になります。ヘリコプターでエンジンが停止した場合は、オートローテーションで着陸する必要があります。

多発機の詳細については、「双発エンジン航空機の操縦法」を参照してください。
ヘリコプターの詳細については、「ヘリコプターの操縦法」を参照してください。

特定のエンジンがすぐに故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [エンジン] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させるエンジンの [故障中] チェック ボックスをクリックします。
  4. [OK] をクリックします。

特定のエンジンが指定した期間内に故障するように設定するには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [エンジン] タブをクリックします。
  2. [故障する要素を設定] をクリックします。
  3. 故障させるエンジンの [故障発生] チェック ボックスをクリックします。
  4. [発生時間] の左側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  5. [発生時間] の右側のボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  6. [OK] をクリックします。

ランダムにエンジンを故障させるには

  1. [故障] ダイアログ ボックスの [エンジン] タブをクリックします。
  2. [ランダムに要素が故障] をクリックします。
  3. [故障させる要素の数] ボックスをクリックし、ランダムに故障させるエンジンの数を入力します。
    または、
  1. [故障させる要素の数] ボックスの右側にある上下の矢印をクリックして、ランダムに故障させるエンジンの数を増減させます。
  2. [故障開始時間] ボックスをクリックして、故障が発生するまでの最短時間 (分単位) を入力します。
  3. [故障終了時間] ボックスをクリックして、故障が発生するまでの最長時間 (分単位) を入力します。
  4. [OK] をクリックします。

注意 : タイマーは、[フライト!] をクリックするまでカウントを開始しません。

操縦不能

航空機の操縦面を使ってパイロットは旋回、つりあい調整、上昇、降下を行います。もし 1 つでも操縦面が故障すれば、飛行が危険な状態に陥るか、目的地へ飛び続けられなくなる恐れが生じます。Flight Simulator では、この操縦不能状態を安全に体験することができます。

故障をリセット

故障の設定をすべて取り消したいときは、故障をリセットして標準設定に戻すことができます。

関連リンク

訓練ツールとしての Flight Simulator
ヘリコプターの操縦法
双発エンジン航空機の操縦法