タービン エンジン


タービン エンジンとジェット エンジンのしくみを学ぶ

エンジンに関する基本的なしくみをいくつか理解することで、パイロットはより効率的にエンジンを操作し、動力装置の寿命を伸ばすことができます。また、エンジン故障の防止にもつながります。

基本原理

タービン エンジンが開発されたのは、プロペラおよびピストン エンジンでは高い高度の薄い空気の中を飛行したり、燃焼させたりする際に効率上の問題があったからです。タービン エンジンでは燃焼前に空気を圧縮するため、高い高度での性能に優れています。そして、空気の薄い高い高度で飛行できるため、燃料効率が良くなり、航続距離は長くなり、ほとんどの気象条件において乱気流の上空を高速、かつスムーズに飛行できるようになりました。大型航空機の大部分がピストン エンジンに代わってタービン エンジン (ターボプロップ、ターボファンを問わず) を採用するようになったのはこのためです。小型で効率の良いタービン エンジンも開発され、小型ビジネス機に装備されるケースもしだいに増えていきました。

動作のしくみ

タービン エンジン内のタービンは、扇風機のような構造になっています。シャフトの周囲に並んだブレードが、エンジンに流れ込んできた空気を捕らえ、中心にあるエンジンのシャフトを回転させます。現在のタービン エンジンの多くは、入ってくる空気を段階的に圧縮して燃焼室に送り込むための複数のコンプレッサ タービンを備えています。 エンジンの排気部分にあるタービンは、排気のエネルギーを使用してタービン シャフトの回転を維持します。

タービン エンジンはすべて、同じ基本原理に従って動作します。まず、燃焼させる燃料と空気がエンジンに引き込まれます。空気と燃料は燃焼室で混合され、混合気はここで点火されます。すると、高温の排気ガスがエンジンの後部から高速で吹き出し、航空機を前方に押し出します。この高温の空気はエンジン内を流れ、排気流となってタービンを回転させ、シャフトの高速回転を維持します。通常、この回転数は 10,000 RPM 以上です。

ターボファン エンジン

ターボファン エンジンは、エンジン前面に大きな直径のファンを備えています。このファンによって加速された大量の空気が、コア エンジンの周辺を流れて後方に押し出されます。このしくみにより、古いターボジェット技術に比べて燃料の使用効率が良くなり、静音性が向上しています。

ターボプロップ エンジン

ターボプロップ エンジンは、プロペラの付いたジェット エンジンです。高速で回転するタービンが巨大なパワーを生み出し、このパワーが減速装置を経由してプロペラに伝わります。プロペラは、タービンによって回転する巨大な扇風機なのです。250 ~ 350 mph (時速 400 ~ 560 km) の速度では、ターボプロップ エンジンは純ジェット エンジンよりもはるかに効率的です。ただし、これよりも高速になると、プロペラのせいで効率が悪くなります。高速機で使用するのであれば、純ジェット エンジンを選ぶべきです。

タービン エンジンの制御

パイロットの視点に立つと、タービン エンジンの操作はピストン エンジンに比べて簡単です。ボンバルディア リアジェット 45、ボーイング 737-800 などのターボファン エンジンを装備した航空機では、パワーを制御する装置はスラスト レバーしかありません。燃焼室での燃料と空気の混合については、燃料コントロール システムが自動的に管理します。また、注意が必要なプロペラ コントロールもありません。

出力を増加させるには

  • 出力レバーを前方に押します。

パワーを減少させるには

  • 出力レバーを手前に引きます。

ジェット エンジンが最大出力、つまり “スプール アップ” するまでには時間がかかることを忘れないでください。より大きなパワーが必要になりそうな場合は、非常に重要です。

温度管理

タービン エンジンを操作する際に考慮すべき最も重要な点は、温度管理です。離陸時に出力レバーを前方に押すと、エンジンは簡単にオーバーヒートしてしまいます。たとえエンジンに故障が発生しなかったとしても、エンジンの重要な部品に対する点検と修理のために巨額の費用が必要になるでしょう。したがって、パワーを増加させるときには排気ガス温度計 (EGT) とタービン温度計 (ITT) の値に注意してください。指針が赤いゾーンを指さないようにすることが重要です。

逆噴射

リアジェット 45、ボンバルディア CRJ、ボーイング 737-800、ボーイング 747-400 には、逆噴射装置が装備されています。この装置は、エンジンの排気を前方向に偏向させて、着陸した航空機を減速します。

逆噴射を行うには

  1. 出力をアイドルまで下げます。
  2. F2 キーを押し続けます。
  3. 航空機が 60 ノットまで減速したら、F1 キーを押して逆噴射を停止します。

関連リンク

ジェット機の操縦法
ピストン エンジン