Extra 300S
フライト ノート― Extra 300S の操縦方法
航空機を馬にたとえるならば、エクストラ 300S はサラブレッドのチャンピオンです。事実、このモデルは、アンリミテッド クラスのアエロバティック競技でチャンピオンになるために設計されています。300S は、軽量の機体に 300 馬力のエンジンと鋭敏な操縦性を調和させて 1 つの航空機にまとめ上げたもので、何度も世界アエロバティック選手権で優勝しています。
2 人乗りのモデル 300 から派生した 1 人乗りの 300S は、翼の取り付け位置が 8 インチ低いので、それだけ地上姿勢における視界が良好で、また航空機としての外観も改善されました。待ち望まれていたこのモデルが 1992 年 3 月にデビューを飾ると、生産された 4 機のうち 3 機までが、同年 7 月の世界選手権で飛行しました。
エクストラ 300S は、1 秒間に 400°という信じがたいロール率を備えています。1 秒間に 400°です。また、パティ ワグスタッフのようなエキスパートの手にかかると、非常に正確な機動ができる点も印象的です。彼女の航空ショーでは、300S がまるでレールの上を滑るように、空に曲線を描くのを鑑賞することができます。通常の航空機では、ループのための十分な慣性を得るため、パイロットは少し降下する必要があります。しかし、エクストラ 300S は高い巡航出力を備えているので、水平飛行をしながら操縦桿を引くだけで、垂直に駆け登り背面飛行の姿勢に入ります。この機体は、ロール、ループ、テール スライド、ハンマーヘッド、キューバン エイトなど、パイロットが望むどんな極端な機動でも軽々とこなします。
300S の操縦装置の感度の良さは、操縦桿を少し動かしただけでもわかります。操縦系統に反応の遅れや抵抗感はありません。操縦装置を動かせば機体は即座に反応します。長いエルロンは、自動車のパワー ステアリングに似たシステムで動作するので、指先でもコントロールできます。深いバンク角の姿勢でも、驚くほど軽く制御できます。電動で位置を調整可能なラダー ペダルにより、どんなパイロットにも合わせることができます。バブル キャノピーにより、通常の飛行姿勢でも背面飛行姿勢でも、全体を見通す広い視野を確保できます。
他のテイルドラッガー機と同様に、300S は地上での機首越しの視野は優れていません。地上走行時の標準的なテクニックは、S 字ターンを行って進行方向を見ることです。出力を上げて離陸滑走に入れば、尾部がすぐに浮き上がり、機体全体もすぐそれに続きます。
大半の 300S は、機会があれば背面飛行もできる高速でスポーティーな機体が欲しいと思っているパイロットが購入しています。そのほかでは、競技目的や航空ショーで見物客を楽しませるために購入されています。 購入時の動機が何であれ、エクストラ 300S の所有者は、この元気で行儀が良いサラブレッドを、その卓越した性能ゆえに愛してやみません。
諸元表
ヤード ポンド法 | メートル法 | |
最大速度 | 200 kt、230 mph | 370 km/h |
巡航速度 | 178 kt、205 mph | 330 km/h |
エンジン | Textron Lycoming AEIO-540-L1B5 (300 hp) | |
プロペラ | 3 翅定速 | |
航続距離 | 415 nm、478 miles | 769 km |
実用上昇限度 | 16,000 ft | 4,877 m |
燃料積載量 | 42.3 U.S. gal | 160 ℓ |
自重 | 1,470 lb | 667.8 kg |
総重量 | 2,095 lb | 950 kg |
全長 | 23.36 ft | 7.12 m |
全幅 | 26.25 ft | 8 m |
全高 | 8.6 ft | 2.62 m |
FAA 認可制限荷重倍数 | +/- 10 G | |
座席数 | 1 | |
有効搭載量 | 625 lb | 283.5 kg |