レッスン 3: ホールディング パターン


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以前のレッスンで、トラフィック パターンの飛行方法はすでに学習しました。では、トラフィック パターンの飛行とホールディング パターンの飛行の違いは何でしょうか。トラフィック パターンを飛行していたときは、視覚を頼りに操縦していたことにお気付きですよね。この講義で学習するホールディング パターンは、計器飛行の間のみ実行します。

旅客機の機長が機内放送で、「えー、当機は、ここでしばらくホールドするように指示を受けました」と言ったとします。このとき乗客は、「参ったな、遅れるのか」とつぶやくはずです。だとすれば、乗客は自分が思っているよりも計器飛行のことをよく知っているということになります。なぜなら、ホールドとは文字どおり航空機を空中で待機させる指示だからです。ATC が交通混雑や天候条件のため到着を遅らせたいと思っても、航空機をパーキング エリアに止めて休憩させるわけにはいきません。そこで、管制官はパイロットにホールディング パターンで飛行するよう指示します。

ホールディング (空中待機) パターン

標準のホールディング パターンは、図 3-1 に示すような、VOR や無指向性無線標識 (NDB)、インターセクションなどのホールディング フィックスを基点にした、楕円のレーストラックのような形をしています。

図 3-1

2 本の直線レグは、それぞれ “インバウンド レグ”、”アウトバウンド レグ” と呼ばれます。標準のホールディング パターンでは、旋回はすべて右回りで行います (ということは、非標準パターンでは左回りになるということです)。また、旋回は必ず標準旋回で行うことになっています。各区間の長さはどのくらいでしょうか。インバウンド レグは、約 1 分で飛行できる距離と決められています。この距離は風の影響を受けます。したがって、風がある場合は、次に飛行するインバウンド レグに約 1 分かかるように、アウトバウンド レグの長さを調節しなければなりません。

実は、ホールディング パターンに沿って飛ぶことは簡単なのですが、これにエントリ、つまり入る方法を決めるのが、ほとんどのパイロットにとって頭痛の種なのです。保護された空域から航空機がはみ出さないように、FAA ではいくつかの決まったエントリ方法を推奨しています。 どの方法を選ぶかは、最初にホールディング フィックスを通過するときの針路によります。

ダイレクト エントリ

ホールディング フィックスに、インバウンド レグと同方向からアプローチする場合は、ダイレクト エントリを使用します (図 3-2 エリア C)。

図 3-2

まず、フィックスに向かって飛行し、右旋回 (標準ホールディング パターンの場合) または左旋回 (非標準ホールディング パターンの場合) して、ホールディング パターンに沿って飛行します。

パラレル エントリ

ホールディング フィックスにインバウンド レグとは反対方向からアプローチし、フィックスを通過後、レーストラックの外側に出る場合は、パラレル エントリ (図 3-3 エリア A) を使用します。

図 3-3

インバウンド コースと平行になるように旋回して、アウトバウンドの方向に 1 分間飛行したら、レーストラックに向かって旋回してインバウンド コースをインターセプトします。フィックスに戻ったら、ホールディング パターンを飛行します。

ティアドロップ エントリ

ホールディング フィックスにインバウンド レグとは逆方向からアプローチし、フィックスを通過後、レーストラックの内側に入る場合は、ティアドロップ エントリを使用します (図 3-4 エリア B)。

図 3-4

フィックス上で、レーストラックに沿って、アウトバウンド レグの方位と 30 度ずれた針路を取ります。この針路を 1 分間保持してから、逆方向に旋回してインバウンド コースをインターセプトします。 フィックスに戻ったら、ホールディング パターンを飛行します。

ややこしいですよね。ほとんどのパイロットも、そう感じています。しかし実際には、管制官は大抵、飛行ルートに沿ってインターセクションに到達したところでホールドするように指示するので、最も一般的なエントリ方式はダイレクト エントリです。 ホールド、つまり空中待機の練習は、計器飛行の技能を磨く上でも非常に有効ですし、いつか必ず、管制官があなたにもホールドの指示を出す日が来ることを考えれば、練習しておくに越したことはないでしょう。 それでは、[このレッスンを開始する] をクリックして、今学習したことを練習してください。そして、計器飛行証明チェックライドの試験官に自分の腕前を見せつけてください。 グッド ラック!

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